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黄斑変性症について
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◆黄斑変性症について◆
目のつくりはよくカメラにたとえられます。カメラのフィルムに相当するのが
網膜で、ここに存在する視細胞が網膜に写る光の刺激を電気信号に変え、
視神経を通じて脳に情報を送っています。
網膜のほぼ中央に位置する黄斑部は、ちょうど視野の中央の像をとらえる部分
で、視細胞が特に集中しています。黄斑部はその組織が黄色なので、
この名で呼ばれています。
黄斑変性症は黄斑部の性質が変化して視力が低下する病気です。
欧米では失明原因の第一位になっており、日本でも1987年〜1993年までの
6年間で、患者数は7500人から1万4000人と約2倍に増えています。
特に高齢者に多いのが特徴です。黄斑部の変化の仕方によって萎縮性と
滲出性に分けられますが、視細胞の栄養が不足することによって起こる
萎縮性黄斑変性症は、日本ではあまり見られません。
現在日本で急増しているのは
滲出性黄斑変性症
で、
これを一般に
加齢黄斑変性症
と呼んでいます。
年を重ねるとともに増え、目の老化と考えられますが、
そのほかにもいくつかの危険因子が考えられています。
◆日光◆
長時間日光にさらされると、活性酸素が多く発生し、
それが加齢黄斑変性症の発症に
関係すると考えられています。
この病気は白色人種に多く、特に虹彩の色が薄い人に
多いという特徴があります。
◆抗酸化物質の不足◆
加齢黄斑変性症の患者さんでは血液中のビタミンEやカロチノイドなど
抗酸化物質の値が低いという報告があります。
◆喫煙◆
加齢黄斑変性症の患者さんには喫煙者が多いこと(非喫煙者の3倍)が
分かっています。
特に若い時からタバコを吸っている人、1日の本数の多い人、深く煙を
吸い込む人に多いようです。
◆◆起こる仕組み◆◆
網膜は細かくみていくと10層に分けられますが、眼球の一番下(外側)に
色素上皮細胞の層があり、その前面に視細胞の層があります。
色素上皮細胞と接しているのが脈絡膜で、ここに走っている毛細血管が
網膜に栄養を送り込んでいます。年をとったり上記のような
危険因子があると、網膜に栄養を送っている血管が詰まり、網膜に栄養を
送れなくなることがあります。すると、急ごしらえの新生血管が脈絡膜から
網膜の方へ伸びてきます。新生血管はもろいため、そこから血液中の成分が
漏れ出したり、出血が起こったりします。
この状態が続くと、滲出物や血液によって網膜の視細胞が破壊され、
視力に影響が出るようになるのです。
主な症状には次のようなものがあります
。
・中心部が暗く見える
・物がゆがんで見える
・視力が低下する
初期の段階では見ようとするものの中心部がぼやけたり、黒ずんで見える
などの症状が現れます。例えば、人の顔を見ようとしても、ちょうど顔の辺りが
黒くぼやけるので、相手の目鼻立ちや表情が分かりません。
また、色のコントラストも判別しにくくなります。
さらに物がゆがんで見えることもあります(図参照)。
周囲の景色がゆがんだり、一部だけピョコンと伸びているように
見えたりします。
そして病気が進んで出血を繰り返すようになると、1.0以上の視力があった人が
0.2から0.1まで下がるなど、顕著な視力低下が起こります。
最終的には、見たいものが思うように見えないという状態がずっと続くように
なります。黄斑変性症は個人差はありますが、比較的進行の早い病気です。
異常を感じた時は、すぐに専門医を受診してください。
黄斑変性症はかつて欧米人に多く、日本人には少ない病気でした。
しかし、近年先進国を中心に増えていることから、不規則な生活や高脂肪食も
原因ではないかと考えられています。そのため、脂肪分の多い食事を
控えたり、禁煙するなど、まずは危険因子を減らす努力をすることが大切です。
また、ビタミンCやビタミンEなどを多く含む抗酸化食品を積極的に摂取することも
予防につながります。
強い光を避けるために、サングラスを活用するのも良いでしょう。
いずれにしても、早期発見のために50歳を過ぎたら1年に1回は検診を
受けることをおすすめします。
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